毎日新聞 2013年10月14日 13時28分(最終更新 10月14日 13時37分)

 自衛隊に関する機密「防衛秘密」のうち、秘密指定の解除後に国立公文書館に移され保管されている文書が一件もないことが分かった。公文書館は歴史的に重要な文書を保存、公開する施設だが、防衛秘密は2002年以降、一件も公開されていない。専門家は「歴史的に重要文書が検証できない」と批判している。【青島顕】

 防衛秘密は02年施行の改正自衛隊法で定められ、防衛相が防衛上特に必要な文書を指定する。自衛隊の運用や計画▽防衛力整備計画▽武器や航空機、船の種類・数−−などで11年末現在、3万752件ある。

 防衛省の内規では、保存期間は1件ごとに異なり1年未満〜30年(延長可能)。期間の途中で「秘密の要件を欠く」と判断すれば、秘密指定を解除し、歴史的に重要なものを公文書館に移管できるが、これまでに移された文書は一件もない。

 一方、保存期間を終えた文書は省幹部の承認を得たうえで廃棄するか期間を延長する。廃棄数は07〜11年の5年間で計約3万4300件に上る。

 一般の行政文書の場合、公文書管理法により、保存期間(30年未満)終了後か、使われなくなった時点で公文書館に移すか廃棄する。廃棄には首相の同意が必要で、防衛秘密のように省だけで決めることはできない。

 防衛省防衛政策局調査課は、秘密指定を解除し公文書館に移管するかどうかは省の判断に委ねられていることから問題ないとの見解を示した。そのうえで「保存期間が満了すれば管理者の承認で廃棄することは、自衛隊法施行令や訓令(内規)で定めている」と、廃棄についても規定通りの運用だと説明した。

 自衛隊に詳しいジャーナリストの前田哲男さんは「想像するしかないが、日米合同や自衛隊の訓練のシナリオや検討過程も廃棄されてしまっているだろう。欧米なら保存し年限が来たら公開する」。NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんも「秘密文書ほど指定が正しかったのかなど、歴史的検証が必要だ。防衛に関する秘密についても公文書管理法の趣旨に沿い、重要文書を廃棄しない仕組みを作るべきだ」と話す。