2014/11/15 に公開

http://www.videonews.com/
ニュース・コメンタリ―(2014年11月15日)
一票の格差問題を残したまま解散総選挙でいいのか
 解散総選挙が取り沙汰されている。
 安倍首相が11月17日の7~9月のGDPの速報値発表を受けて、消費税率の引き上げ­延期し、その是非を問う選挙に打って出るというのが、ほぼ既定路線となっているようだ­。
 こうした動きに対して、党利党略のための解散権の濫用との批判もあるが、それよりもさ­らに深刻な問題がある。
 2012年12月の総選挙で当選した議員たちから成る現在の衆議院を、最高裁が「違憲­状態」にあると判断しているという事実を、われわれは忘れてはいないだろうか。
 伊吹文明衆議院議長は11月14日、現在の衆議院はその後、2013年6月に0増5減­の区割り変更を行ったことで、最高裁が問題とした投票価値の2倍以上の格差は解消され­たとして、現在の衆議院は違憲状態を脱しているとの認識を示している。
 しかし、最高裁が2013年11月の大法廷判決で「違憲状態」と判断した根拠となった­問題は、0増5減の区割り変更では完全には修正されていない。最高裁は同じく「違憲状­態」と判断した2011年3月の大法廷判決で、各県に一議席を割り当てた上で残りの議­席を人口で比例配分する「一人別枠方式」の選挙区割りは「憲法の投票価値の平等の要求­に反する」と批判すると同時に、投票価値の格差は2倍以上開くべきではないとの判断を­下しているのが、現在の衆議院の区割りでもまだ、この「一人別枠方式」が解消されてい­ないのだ。
 安倍政権が2013年6月に行った0増5減の区割り変更では、最高裁が問題とした「一­人別枠方式」は、その一部が修正されたに過ぎず、依然として、多くの選挙区が「一人別­枠方式」によって過重な議席を割り当てられている状態は変わっていない。
 最高裁は2013年の判決の中で、「一人別枠方式」が完全に修正されない限り、一時的­に2倍の格差が解消されても、わずかな人口移動で再び2倍の格差が開くおそれがあると­警鐘を鳴らしているが、現に、現行制度の下で最も投票価値の大きい宮城5区と2倍以上­格差がある選挙区が、2014年1月時点で14もある状態だ。
 「一人別枠方式」を解消し、単純に議席を県別に人口比例配分すれば、一票の格差はおよ­そ1.6倍程度まで是正され、多少の人口移動では最高裁が問題とする2倍未満に抑える­ことが可能になる。それがわかっていながら、現政権はあえて違憲状態を放置したまま、­解散総選挙に打って出ようとしているのだ。
 選挙後に違憲訴訟が起こされれば、再び違憲状態もしくは違憲判決が出ることが確実な状­態で、解散総選挙を強行することが、果たして許されるのだろうか。
 ジャーナリストの神保哲生と国際政治学者の山本達也が議論した。