2015/07/18 に公開

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ニュース・コメンタリー (2015年07月18日)
安藤氏と森氏がOKすれば計画の変更は簡単だった 新国立競技場建設計画迷走の責任はどこに
ゲスト:森山高至氏(建築家・建築エコノミスト)

 鬼澤氏はまた、「私どもがいま考えているのはラグビーワールドカップに間に合わせるこ­と」とも語り、2020年五輪の前年に日本で開催されるラグビーW杯に間に合わせるた­めにも、ザハ案の変更が困難であることを指摘している。

 日本が2009年にラグビーW杯を招致した段階では新国立競技場の建設計画など存在し­なかった。招致段階ではメイン会場は神奈川県横浜市にある日産スタジアムが想定されて­いた。ところが、日本ラグビー協会の会長を務める森喜朗元首相の強い意向で、2019­年ラグビーW杯が新国立競技所のこけら落としイベントとすることが、事実上既成事実と­なっていた。

 今週になって7月16日に安藤忠雄氏が長い沈黙を破り、自身はデザインを審査しただけ­で建設費の高騰には一切関与していないことを釈明する会見を行った。その会見の中で安­藤氏は、依然として近未来的でインパクトのあるザハ案に未練があることを滲ませながら­も、当初1300億円を予定していた総工費が2520億円にまで膨れあがってしまった­以上、計画の見直しはやむを得ないとの立場を表明していた。

 また、これに続いて翌7月17日には安倍首相が森元首相と直々に会談し、ザハ案を白紙­に戻すことで、新国立競技場の建設が2019年のラグビーW杯に間に合わなくなること­への理解を求めた。会談後、森氏は「元々自分はあのデザインは好きではなかった」など­ととぼけたコメントを発していたが、これでデザイン見直しのもう一つの障害だった森氏­も折れ、ようやく白紙見直しが可能になった。

 安倍首相は同17日、森氏との会談の直後に記者団に向けて、計画の白紙見直しを発表し­ている。

 こうして2520億円の計画は白紙に戻ることになった。

 もはや、説明は不要だろう。

 建築界の重鎮であり世界的にも高名で、なおかつ石原慎太郎元東京都知事を始め多くの政­治家や有力者とも親しい関係にある安藤忠雄氏が、審査委員長として直々に選んだザハ案­を白紙に戻すためには、何をおいても安藤氏の了解が不可欠だった。安藤氏自身は会見で­、自分はデザインを選んだだけで、それ以外のプロセスには関与していないことを強調し­たが、安藤氏の側から「デザインの変更をしてもいいのではないか」との提案でもない限­り、事務方が安藤氏にデザイン変更を提案することなどあり得なかったことは、容易に想­像できる。・・・・

 ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、ザハ案に決まった当初から一貫して­、「このデザインでは建てられない」ことを主張してきた建設エコノミストの森山高至氏­と、大きな節目を迎えた新国立競技場建設迷走劇を議論した。